あの名作「真田太平記」がDVDとなって復活


 昭和60年、NHKで放映された新大型時代劇「真田太平記」。
名作と言われたこの「真田太平記」がDVDとなって復活しました。


 「真田太平記」について

 小説家、池波正太郎といえば、「鬼平犯科帳」、「藤枝梅安」、「剣客商売」など時代劇でも御馴染みだが、数多くのいわゆる「真田モノ」も書いている。
 「真田モノ」とは、戦国期の小大名真田氏と真田氏が治めた信州松代藩をモチーフとした作品のことで、池波正太郎が直木賞を受賞した「錯乱」も幕府と真田信之の隠密合戦を描いた「真田モノ」であり、池波正太郎にとって「真田モノ」は得意中の得意であったと思われる。

 その池波正太郎が渾身の力を込めて描いた「真田モノ」の長編小説が『真田太平記』である。

 大勢力の間にあって戦乱の世を生き抜く真田一族。激動する時代の流れに翻弄されながら、知略謀略の限りを尽くして生き抜こうとする父、真田昌幸。男の生き甲斐を求めて戦場におもむく弟、幸村。父と弟と袂を分かち真田家の存続のため、ひたすら耐える信之。読者はそれぞれの生き方に共感を持ちながら引き込まれてゆく。
 また、真田一族を取り巻く忍者たちの暗闘など娯楽的な面もあり、読者の興味をそらさない。

 その「真田太平記」がNHKで新大型時代劇として毎週水曜日に放映されたのは昭和60年のこと。このころNHKの大河ドラマは時代劇から現代劇路線に変わっており、時代劇は水曜日に放映されていた。
 このころ、筆者は中学生だが毎週水曜日、この「真田太平記」を欠かさず見ていた。それだけにこの作品には格別な思い入れがある。

 映像化されると、とかく原作の持ち味を殺してしまうことが多いがこの「真田太平記」は原作の魅力を充分に引き出して見ごたえのある作品になっている。
 配役の妙、テンポ、台詞回しなどどれをとっても非の打ち所がなく、今、何度見直しても飽きることがなく、まさしく名作である。

長年、ファンの間でビデオ化が望まれながらなかなか実現せず、何かの折に再放送されるのを待つより他なかったが、このたびようやくDVD化されたのは待望久しい喜びである。



真田 信之 渡瀬恒彦
「豊臣家の御ためと申すより、どちらが天下のためになりましょうか?」 (21話「決裂犬伏の陣」)
このドラマの主人公。関ケ原の合戦で父や弟と袂を分かち、敵味方に分かれながらも真田家を残す。
どちらかと言えば、地味で耐える静かな男を渡瀬恒彦は好演した。
徳川から受ける重圧をはねのけ、敵味方に分かれた父や弟を気遣う姿に大いに共感させられた。現在まで真田家が残ったのもこの人物の働きが大きかった事を実感。
 
真田 幸村 草刈正雄
「親子兄弟敵味方に分かれるもあながち悪しゅうはありますまい」  (21話「決裂犬伏の陣」)
ご存知、有名な真田幸村。信之の弟である。明るい性格で人を惹きつける魅力に富み、兄を尊敬する。上杉や豊臣に人質に出されたことが後の運命を決定付けられる。大坂の陣では敵に回った兄を気遣いながらも縦横に活躍、徳川軍を苦戦させる。大坂夏の陣では家康を後一歩と言うところまで追い詰めるが討ち取ることができなかった。真田丸の攻防や、夏の陣の戦いなど必見である。
 
真田 昌幸 丹波哲郎
「羽柴や徳川と違うて兵力も領土も貧しいがわしも真田じゃ!信玄公お側近く仕えた真田じゃ!!」
(7話「危急存亡の時」)
信之、幸村兄弟の父。権謀術数に長けた軍略家。女好きでありながら恐妻家。どことなくユーモラスなキャラクターを丹波哲郎が好演。あまりのはまりっぷりに、私は丹波哲郎以外、真田昌幸役は考えられない。もう丹波ワールド炸裂!!って感じです。
 
矢沢 頼綱 加藤嘉
「もしも本家分家の争いが戦となりました時は、それがしあなた様に槍を突き付けることになりまする」
 (12話「沼田城主信幸」)
真田家の重鎮。昌幸には叔父。信之、幸村兄弟には大叔父にあたる。
周りに人がいる時は昌幸を「お館様」と呼んで家臣の礼を取るが、たまに2人だけの時に「源五郎どの」と呼んで叔父甥の間柄にもどり、意見を言うことがある。昌幸にとって頼りになる存在である。
 
壷谷 又五郎 夏八木勲
「家康の首を狙いまする」
(25話「家康襲撃」)
真田家の忍者、「草の者」を束ねる頭領。昌幸の片腕的存在。
寡黙にして頼れる男を夏八木勲が好演する。表情ですべてを語る、かなり難しい役だが、夏八木サンはこういう役が大変うまい。
最後、関ヶ原で家康を襲うシーンは迫力がある。
 
お江 遥くらら
「忍びとて人。人の子の暖かい血が冷えてはまことの忍び働きはできません」
        (6話「出会い」)
真田家の草の者。女忍び。若き日の幸村と結ばれ幸村にとって永遠の女性となる。しかし、この役はスゴイ。強くて、優しくて、妖艶で。そんな不思議な女お江は殺気を帯びた忍びの時と幸村と一緒にいるときの女としての表情や声が場面、場面でまるで違う。同一人物とは思えぬ使い分けにビックリ。さすが、男役もこなす宝塚出身である。
 
樋口 角兵衛 榎木孝明
「源二兄いは私が弟であると知っておられたかっ!!」  (6話「出会い」)
かなり、屈折した人生を送る。昌幸の正室である山の手殿の妹、久野と武田家の家臣、樋口下総守の間に生まれた子供だが、実は昌幸と久野の間にできた子供である。そのことを知ってしまった瞬間から屈折した人生がはじまる。昌幸からは認知されず、遠ざけられれば遠ざけられるほど、昌幸、信之、幸村のもとに付いては裏切るという行動をとる。
 
小松殿 紺野美沙子
「おたち退きなくば鉄砲を撃ち掛けますぞっ!」   (22話「信幸懊悩」)
信之の正室。徳川家康の重臣、本多忠勝の娘。信之が徳川につく関係を作る。信之とお見合いするときに、頭を下げていた信之のあごに扇子をあてて顔を起させようとするなど、かなり怖い者知らずのお転婆だった感じがする。
もっとも、信之にその無礼を咎められたのが却って信之に嫁ぐ決意をさせた。信之に嫁いでからは夫信之を陰から支える。関ケ原の合戦では昌幸と幸村が夫の信之と敵味方に分かれたことを知ると、沼田城に立ち寄った昌幸を一歩も城に入れなかった。
 
上杉 景勝 伊藤孝雄
「なれば親子がともに戦い、ともに討ち死になされ」
           (7話「危急存亡の時」)
昌幸には何度も煮え湯を飲まされた一人。しかし、昌幸は徳川と離反すると、景勝を頼って単身春日山城に乗り込む。その昌幸の誠意ある態度に心を動かされた景勝は今までのわだかまりを捨てて昌幸の後ろ盾となる。その後、人質として送られてきた幸村を景勝は気に入り、人質扱いせずに上杉の兵法や武将としての心構えを教える。
 
豊臣 秀吉 長門裕之
「わしに誠を尽くすというのが道理と言えるかもしれぬのう」
(8話「激闘上田城」)
天下人、秀吉。上杉にいた幸村は秀吉の命令で大坂に送られる。幸村はそこでも秀吉に気に入られる。この秀吉の下にいる時に秀吉の命により秀吉の側近、大谷吉継の娘、於利世と結婚する。
 
徳川 家康 中村梅之助
「今しばらくの辛抱じゃ」
(16話「名護屋撤退」)
この家康もハマリ役。信之にとっては主君、昌幸、幸村にとっては宿敵となる。
昌幸には何度か痛い目に遭わされているが、信之に対しての信頼は変わることが無かった。
 
石田 三成 清水紘治
「わしは道だけは間違うてはおらぬはずだ」
(25話「家康襲撃」)
秀吉の側近中の側近。でもドラマでは秀吉に「治部の顔など見ても面白くもないわ」とからかわれている。
 
大谷 吉継 村井国夫
「武士の血はなかなか冷え切らぬものよ」
(21話「決裂犬伏の陣」)
幸村の岳父。石田三成とは親友である。
関ケ原の合戦前には三成に挙兵を思いとどまるように説得したが失敗。その固い決意の前にかえって三成に加担することに。関ケ原の戦いでは善戦するが裏切った小早川秀秋の攻撃を受けて潰滅。自刃する。
 
本多 忠勝 加藤武
「かくなる上は伊豆守殿とともに沼田城に立て篭もり…殿を相手に戦つかまつる!!」  
(27話「切腹命令」)
徳川四天王の一人。歴戦の勇将。家康からの信頼が篤い。信之の岳父にあたる。徳川の敵である昌幸を実父とする信之は徳川家でも肩身が狭いものであったが、忠勝は信之の後ろ盾となり、信之を庇う。
 
徳川 秀忠 中村梅雀
「真田め!ただではおかん!ただではおかんぞっ!」
(26話「決戦 関ケ原」)
昌幸のせいで関ケ原の合戦に大遅刻。家康からこっぴどく叱られる。そのことから生涯、真田家に対し恨みをもつ。
信之に好意をもつ家康の亡き後、真田家取り潰しに動くのだが…。

山中 大和守 佐藤慶
「わしには関白様の寝言まで手に取るようにわかる」
          (13回「お江受難」)
 徳川家の忍び、甲賀の山中忍びの頭領。真田の草の者たちとは対立関係にある。又従兄弟の山中内匠(写真右、戸浦六宏)とともに、徳川家康を裏から支え、諜報活動を行う。
 しかし、佐藤慶さんはやはりこういう影の頭領といった役が良く似合う。一分の隙のない表情や、ドキュメンタリーでナレーションをするあの重々しい声など敵役の頭目にふさわしい。こういう役ができる役者さんが近年少なくなって残念ではある。
ちなみに、山中内匠役の戸浦六宏さん(故人)も一筋縄では収まらない悪役を数多く演じていた。登場するたびに気になる役者さんではあった。
 
猫田 与助 石橋蓮司
「あやつは必ず現れる」
(24回「激闘上田城」)
甲賀の山中忍び。山中大和守に仕える。真田の草の者お江を執念深くつけ狙う。
その人に知られざる理由とは…。
しかし、石橋さんはこういう執念深いというか偏執狂というか、そういう役が良く似合う。やはり石橋さん独特の殺気がもたらすものであろう。
同じ池波小説のドラマ「鬼平犯科帳」でもそういう執念深い盗賊役を何回か演じていた。
 
滝川 三九郎 三浦浩一
「流れに逆らわぬこと、いわば自然(じねん)流。そのように生きとうございます」 (36回「真田丸」)
織田信長の重臣、滝川一益の孫。関ケ原合戦後、昌幸の娘お菊を預かりそのまま妻に迎える。ゆえに信之、幸村とは義兄弟にあたる。
大坂の陣では請われて家康の使い番を勤める。夏の陣の幸村の家康本陣の急襲において一人本陣にとどまり幸村と槍を交えることになる。
夏の陣の後、捕らえられた幸村の妻子を家康に頼んで身柄を貰い受け、その面倒を見た。
 
於利世 中村久美
「恨みまする お恨みいたしまする」 
(39回「兄弟再会」)
大谷吉継の娘。幸村に嫁ぐ。
関ケ原の合戦では父吉継を亡くし大坂の陣では夫幸村、息子大助を喪う、薄幸な女性。
於利世の潜伏先を訪れた幸村と於利世との最後の別れの場面はいままで黙って耐えてきた於利世の感情が噴出した場面だけに印象的である。
 
真田 大助 片岡孝太郎
「私は父上とともに死ぬる覚悟なれば…」
(42回「幸村散る」)
幸村の長男。大坂の陣では秀頼出馬を請う使者として、また人質として戦場から大坂城へ送られる。結局、秀頼の出馬は無く(おふくろの淀殿に反対されたからなんだけどね)、秀頼とともに生死をともにする。

片岡孝太郎さんは歌舞伎役者片岡仁左衛門(旧名、片岡孝夫)さんの息子。現在歌舞伎では女形として活躍中である。
 
向井 佐平次 木之本亮
「明日は左衛門佐様のお側にてさわやかな一生が終われそうじゃ」    (41回「最後の夜」)
高遠城の落城時にお江に助けられる。幸村と出会いその人柄に惹かれ家来となり身の回りの世話などを行うようになる。実は壷谷又五郎の息子なのだがその出生の秘密を知ることは生涯なかった。
幸村とは影のように寄り添うが、幸村が九度山に流されると幸村の命令により信之に仕えるようになる。
しかし、幸村の大坂入城を知ると信之の下を出奔。幸村の陣に駆けつける。そして夏の陣では幸村とともに果てた。
今でこそ、旅行のレポーターという役所が多い木之本亮だが、本来こういう骨太な演技のできる役者さんだったのだ。なんせ、「太陽にほえろ」のロッキーだからねえ。骨太な木之本亮をもう一回見てみたい。
 
向井 佐助 中村橋之助
「お江様、おさらばでござりまする」
(42回「幸村散る」)
佐平次の息子。真田の草の者となる。
忍びとして抜群の素質を持つ。やはりそこは又五郎の孫だけはある。
関ケ原の合戦は幸村に従って九度山に行き、蟄居中の幸村の目や耳となる。
大坂の陣でも活躍するが、夏の陣で戦死する。






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